リュウグウノツカイのように

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専門学校のグレーゾーン化は徐々に進む

まえがき

 「大人の発達障がい」という言葉が最近はやっているようで、診断を受けて「発達障がい」だったんだと気付きホッとする人が増えているようです。一方で、診断を受けても「発達障がい」とは認められない、いわゆる「グレーゾーン層」として社会を生きている人が居るのも事実。

 専門学校でも、いわゆるグレーゾーン層の入学は余程のことが無い限り受け入れ、通常クラスとして編入し、最後の学生生活を受けさせます。つまり、専門学校はグレーゾーンの対応ができる!と言っているのでしょうか?学生目線から考える「専門学校のグレーゾーン化」について、語ります。

体感比率は?

 私の体感では、専門学校、症状は様々にありますが、クラスの半分がグレーゾーンだなと感じます。特にコミュニケーション系の発達障がいについては、雰囲気が違ったり、話している内容が???だったり・・・自閉的な学生も少しは居ますが、圧倒的にASD気味なグレーゾーンが大半だった覚えがあります。

クラスの体感

発達障がいの支援ができるのか?

 専門学校にもよりますが、発達障がいの支援には知識や技術、実際の経験などが多分に含まれます。ベテラン教員であれば、何百人も学生を見てきた分、学生の特性を熟知し、最適なアドバイスを受けられるかもしれません。一方で新人教員には支援のための教育なんてあるはずもなく、勢いとその場のノリで対応しようとする結果、最悪のケースが・・・ということもあるかもしれません。

熱血すぎるのも程がある
 しかし、学校の先生というのは多忙なようで。様々な業務をこなす中で、きっと発達障がいについての勉強会などは開かれないのでしょう。最近は小学校などを中心に、学校でも発達障がいについての勉強会が盛んだと聞きますが、専門学校では、そういったハナシは無かったように思えます。
勉強会に参加する暇もない?

 逆に東大なんかでは、発達障がい支援の場所が設けられているらしく、大学では比較的、理解が進んでいるのかもしれません。 ds.adm.u-tokyo.ac.jp

来る者拒まず、去る者は追わず

 専門学校の入学試験では、余程のことがない限り、グレーゾーンだろうが手帳を持っていようが、入学拒否することはありません。良い目線でみれば「多様性」であり、悪い目線で見れば「良いカモ🦆」なんです。特に普通高校から来る学生は、それなりに周りとやっていけますが、最近多いのは通信高校系の、クラスでみんなと授業を受けたことが無い学生が多くなってきていること。特に地方でも通信高校が多くなってきており、それら学生の進路先として「専門学校」が充てがわれているように感じます。

地方にも多くなってきました。
 結果として、どんな学生でもウェルカムしておきながら、実際の支援はできない(分からない)というのが、専門学校の現状ではないでしょうか。

馴染めないグレーゾーンたち

 今まで通信高校や特別学級などで学んでいた学生たち。自分の夢を追うとはいえ、同じ学校とはいえ、180度違った、異世界のような場所で学習をしなくてはいけません。本人の意志がツヨツヨなら大丈夫ですが、従来のように困っても先生が気づいてくれるとか、先生からサポートがたくさんあるのように考えていると、たぶん詰みます。

今までは、お世話してくれていた

 グレーゾーンにも種類と症状がありますが、高校では「学力」という名の振り分けがあり、レベル分けがされているため、学生本人も周りも保護者も教員も、違和感が無かったんだと思います。そこから、学力レベルにバラツキがある専門学校へ一緒くたに入学するので、違和感バリバリ。専門学生なんで流石にイジメはしないと思いますし、それが社会であり多様性でもありますが、それなりに苦労します。

症状が段階的だから「グレーゾーン」

適切な指導ができず、就職できない

 発達障がいが一番、色濃く出るときが「就職活動」です。自己理解を進め、相手の企業を研究する・・・そもそも、自分はどんな仕事をしたいのか/できるのか。一番の難問であり、誰も答えを教えてくれません。責任も取ってくれません。グレーゾーンも含め、個人戦の中でうまく戦えず、結果的に賢いのに内定が取れない・・・そんなクラスメイトも中にはいました。

ドキドキの就職活動

 私もどちらかというと「グレーゾーンかな?」と思うことがあり、コミュニケーションが得意なタイプではありません。だからこそ、自分の特性とうまく付き合わなくては行けないと思ったり、自己理解を何度も繰り返しました。そういうことができる特殊な方はごくわずか。大半は生きるのが精いっぱいなので、就職活動まで気が回せません。

 何より、指導する教員の知識がなさ過ぎるのが致命的です。学生の特性を見抜かず「なんでお前だけ面接に行っていないんだ!!」とか、周囲と比べて怒ります。「ワタシが学生のときは、もっとガツガツやっていた!」と、自分の経験のみで起こります。冗談じゃない。自慢大会なら他所でやっていただき、普段から学生と接している分の支援をいただきたいものです。

 そんな中で、この書籍は役に立ちました。良かったら読んでみてください。今の就職指導よりは御役に立つかもしれません。 www.shoeisha.co.jp

担任とは名ばかり。

 でも、教員の仕事は何かと多忙。担任の先生という役割だけ押し付けられ、クラスメイトの名前を全員覚えていない先生も過去には居ました。担任とはいえ、専門学校の担任は単純にクラスの責任者という立場のみ。小中学校の担任の先生や、高校の担任の先生のような「学生への興味」はあんまり無いように感じます。「担任=安心」というイメージを持たせる宣伝なだけで、実際は担任ではなく「現場監督」ぐらいのイメージでした。中には学生とゲームやアニメの話をしてくれる、ホントに学生に興味があるんだな~という担任の先生も居ますが...こればっかりは、体験授業や学校見学では見抜けません。

担任ではなく、学生管理員

多様性を認める=ほったらかす?

 現在は様々な多様性を認める活動が盛んです。多様性は認めることが大事ですが「ほったらかして何とかなる=高校までで人付き合いも授業の受け方も日常生活もある程度担保されている」と考える教員が大半な気もします。

 専門学校でドンドン増えるグレーゾーンな学生たち。勉強会などで知識をつけ、うまく指導できる教員が増えないと、就職活動でお得意様の企業から「あれ?レベル下がったね??」と不安視され、専門学校の質が下がっていきます。

 学生のクレームは保護者へと伝わり、後輩へと伝わり、「あそこはヤバい」と影でウワサされるかもしれません。今後の専門学校の将来を活かすも殺すも、グレーゾーン対応にかかっているような気がします。

どんな学生でも、安心して勉強できる環境整備を、お願いしたいものです。